私たちは、
もう迷わない。

エンブレム、それは組織や国家を象徴する印である。目指すべき理想やあるべき姿、切望する願いなどが絵で、線で、文字で描かれるこれは、例えるなら航海における北極星だろう。組織という船が、国家という船団が、その「星」を頼りに目的地へと進み続ける。本会のエンブレムもまた、この「星」の役目を請け負うものとなっていくだろう。

方位記号
地図上で隅に描かれる方位記号は、人類の住まう土地全てを研究対象とする本会の指針を表すものである。また方位の概念は東アジアにおける文化や思想と不可分の要素であり、私たちの源流である東洋文化の存在を、西洋近代歴史学の立場に立つ今も忘れないための自戒を込めた。



ペンを咥えるフクロウ
フクロウはギリシャ神話おいて知恵の女神アテナの象徴とされることから転じ、知恵の象徴とも言われる。歴史に向かい貪欲に挑む我々の姿勢を、まさに羽ばたかんとするフクロウの姿に例え表現した。また咥えるのは学者の象徴たるペンであり、力ではなく言論によって戦う学者の姿勢そのものである。
フランス語の一文
「私たちは過去に学ぶことを恐れない。その姿勢は創立以来変わらない、我々の魂である。」
歴史に対する姿勢は人それぞれである。遠い過去のこととして空想的に捉えるものもいれば、歴史は繰り返すと半ば予言のように考えるものもいる。だが本会会員の文章を読むに、歴史を一種の「反省」とする点で通底しているという特徴があった。言葉や表現が違えどこのニュアンスを示す言葉を探し、一種の標語のような形で記した。
VERITAS OMNIA VINCIT
「真実は全てを征服する」
この言葉は初期の宗教改革者であったヤン・フスの言葉とされるラテン語の成句である。この概念はトマシュ・マサリクの手によって虚偽に対する倫理学的概念として再構築された。その本質は事実の歪曲の為のあらゆる虚構に対する抵抗と不服従であり、当会が歴史に対して誠実たらんとする決意でもある。