今年度の研究発表について
- 2024年8月26日
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暑さがほのかに落ち着きを見せ、時折涼しさすら感ずる頃となりましたが、いかがお過ごしでしょうか。
本稿では例年より大きく変わります研究発表方法についてご報告申し上げます。
中央大学史学研究会では例年、論文執筆とそれを綴じた機関紙『葦』の発行を夏と春の年2回行っておりました。一方で、この負担を理由として会を去る者が出始めるのがちょうどこの夏休みの時期でした。
今年度本会は、これまでの歴史学に準拠し深く調べを進め一定度の新規性を想定し研究することを目的とする「ディープ層」はもちろんのこと、学問的関心は先に比べ欠けるものの歴史や文化に広く触れ歴史学の門を叩き、その楽しさを緩やかに体験することを目的とする「ライト層」も見捨てず互いに共存・共栄を目指していきたいと考えております。
この考えより旧来の研究発表方法を検討しました結果、かつての論文の他、以下4方式を採用することとなりました。
文書発表(論文)
口頭発表(発表)
小説
Webコラム
これらの中から会員は1つ以上選択し、1年をかけ研究していくこととなります。
以下、現時点での各方式の方向性を述べたく思います。
文書発表(論文)
文書発表は基本的に旧来通りの方法を引き継いでいく予定です。一方で、年2回の論文が負担であるとの声は研究を目的として入会した会員からも挙がっていることから、執筆は年1回、年度末としたく思います。
また例年行われていた「ゼミ」に関しては中間報告を分野の共通性がほぼない者らへ一方的に行うという状態であったこと、その際作成が義務付けられていたレジュメは本来論文がある程度完成した後に作成するものであることなどから手を加えるに至りました。具体的には「ゼミ」という形態を一度無くし、中間報告は文書発表を希望したものら全員で草稿状態の各論文を提示し、それに対する議論とします。その後、分野の共通性を鑑みながら小グループに分け年度末までに完成させていくという想定です。
口頭発表(発表)
口頭発表は学会などでの発表を模した、本会でもこれまで試みのなかった方法です。
基本的には文書発表と同様の進み方ですが、特徴的なのはそれを口頭で発表するということです。文書発表(論文)にはこれまで字数制限がなく今年度もそれに倣う予定ではいるのですが、発表では現実的な問題で時間を制限することとなります。決められた時間で自らの研究のポイントを明瞭に伝えるという技術が必要になる、論文とはまた違った難しさがあるのがポイントです。
小説
これを発表方法に含めるのかは議論が起こりましたが、歴史的事実に基づいているものに限り認めることとしました。
本会は確かに歴史を扱う一方、その分岐として文化や宗教にも重きを置いております。また個人史や人類史の観点から、実際に存在したであろう人の視点からの論述も諾なわれるべきとの考えでおります。
加えて、小説執筆とはいえ歴史的事実に基づくものであることから一定度の下調べと知識の体系化は必須であり、一種研究と呼べることからもこの方法が発表方法として採用されるに至りました。
前例のない試みのため手探りではありますが、一定度のグループを作りその中で役割を分けながら1つの作品を作っていくという作業を想定している次第です。
Webコラム
今年度より本会ホームページにて会報『華胥』並びにblog『草紙』が始まっておりますが、これをうまく活動に活かせないだろうかというのがこの発表方法の発端となります。
基本的に文書発表と似通う部分が多いこの発表方法ですが、決定的な違いは「新規性」にあります。先の通り、文書発表は新規性をある程度追求する点で当該分野への知識見識が深く求められますが、このwebコラムは端的に述べて「調べ学習」に近いものを想定しおり、各自の興味関心に沿い策定したテーマを根拠のある文によって説明していくというのがこの方法の中心的な活動となります。
また他と異なる点としては、投稿をローテーションとし週に1回は本会ホームページにて誰かしらの記事が投稿されるという形態を取る点です。このため、今年度で言うと1人あたりおよそ2本ないし3本のコラムを書くこととなります。この点で若干の負担を感じるところですが、例年の論文が各回およそ平均1万字であったことを鑑みるに、負担は軽減されているのかとも考える次第です。
以上が4種の発表方式の現時点での方向性となります。
直近では9月1日にWebコラムの初回投稿が迫っているほあk、他の発表方法も着々と動きを見せているところですので、ぜひお付き合いいただければと思います。
自然災害も多く流動の激しい頃合いですが、どうぞ身の安全を第一にご自愛いただければと思います。
中央大学史学研究会
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