〇〇の使用について
- 2024年12月22日
- 読了時間: 3分
※ 何も考えず指が踊るままに打ち込んだものですので、深くは考えずお読みいただければと思います ※
「〇〇と天才は紙一重」という言葉はご存知ですね?
このように、一般的に伏せ字として使用される「〇〇」ですが、他にも「担当: 〇〇先生」のように未確定事項や可変性事項を示すものに使われるという用法があります。
ちなみにこの「〇〇」の使い方、日本語でのネット検索ではまず出てきません。というのもネット検索においてすでに文化として「〇〇」がプレースホルダーとしての役割を持っているからです。なので例えば「〇〇 用法」などと入れても出てくるのは名詞の形容詞的用法や現在分詞の用法などで、「〇〇」自体の意味は出てきません。
Web上の日本語学習用英語辞書「Japan Dict」曰く、「〇〇」は以下のように説明されています。
symbol used as a placeholder (either because a number of other words could be used in that position, or because of censorship)
(他の単語がその位置に使用できることを示すための、また検索のための)プレースホルダーとして使用される記号
また各言語話者に質問ができるサイト「HiNative」では「〇〇」の意味を問う質問がいくつか寄せられており、ある回答では英語の「something」に当たるという説明がなされていたりもします。
ここで注目したい点は、◯は通例2つである点です。
この「〇〇」、人によって読み方のばらつきがあるものの、よく耳にするのは「何々」であるかと思います。しかしながらおおよそこれが用いられる書き言葉においては「〇」単体では了承の意味を持つマルと誤認される危険性を孕んでおり、逆に3つだと記載が不必要に多くなるという理由があるのではと私は考えています。
というのも、少し古いものではありますが安本美典がその著書『日本語の成立』において基本語彙の平均2.16音節と述べています。これを「〇〇」に当てはめてみると、「◯(マル、maru)」がローマ字での表記通り開音節と考えると4音節ですが、「marもしくはmal」と実際の文における発音として閉音節のように読んだ時、それは2音節とも言えます。しかしながら「〇〇〇」と3つ重ねた時、開音節では6音節、閉音節でも3音節と平均より多い数となってしまいます。
先に述べたようにプレースホルダーである「〇〇」が発音に苦労するようではそれに単語を置き換える上での障害となり得ます。ゆえにマルは2つの場合が多いのと考える次第です。
さて、英語にはこれ近い使われ方をする記号に「*(アスタリスク)」があります。本来これは引用や脚注を表したり文字を強調したりという使い方がなされますが、プログラム界隈をはじめとして日本語の「〇〇」のようにプレースホルダーとしても使われたりします。しかしながらこれが用いられるのは限られた範囲(Fワードの伏せ字など)であって、通例「something」と書き記すかそのように発音します。この点が日本語と異なる点かと思います。というのも、英語やそれに近い言語には形式目的語という概念があり、「具体的なものを示さない何か」を文字として明示する文法があります。だからこそ、現代日本語における「〇〇」のような記号に頼らずとも「具体的なものを示さない何か」を容易に示すことができているのではないでしょうか。
まとめると、まず「〇〇」という記号は「具体的なものを示さない何か」を日常会話に置いて明示しない日本語ならではの発想であるかと思います。またその用例としては音節的な明快さから原則マル2つであるというのが私の考えです。
以上、深夜テンションを十二分に含んだ文章でした。
というか、実際に文を認めることを考えずただ音の響きだけで決めたタイトルをまさかこのように調べることになるとは思いもよりませんでした。数ヶ月前の自分を怒鳴りつけたい衝動に駆られます。
愛を込めて,
史がない女王陛下
参考文献
〇〇. (2024). JapanDict. https://www.japandict.com/〇〇
安本美典『日本語の成立』講談社現代新書、1978年
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