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酢酸菌によるワインの発酵について

  • 2024年9月15日
  • 読了時間: 2分

 1週間程帰省し、さて久しぶりに家に帰り、冷蔵庫のワインを注いでみると独特の匂いと酸味が。そう、お酢を飲んだ時のあの感じです。酸化して劣化するということは経験済みですが、隣のワインビネガーと取り違えたのではないかと疑わざるを得ませんでした。半分ほどグラスに開けて、残りはコルクで栓をして放置。その結果、酢酸菌の作用によってアルコールが酢酸に変化したようです。好気性菌である酢酸菌は空気を必要とするため、飲み残しで空気の混ざった状態のワインでは酢酸菌は活発に働きます。これはワインだけでなく、普通のアルコールや酢でも発生します。お酢を常温保存すると酸味を増すのもこの酢酸菌のさようです。ちなみに酢酸菌は酢酸に対する独自の耐性を発揮しますが一般的な細菌は酢酸によって死滅します。結果的に酢酸菌のみが増殖することができるようです。

 実はアルコールを酢酸へと代謝する行為は人間も行っています。胃や小腸で吸収され肝臓に運ばれたアルコール(エタノール)はアルコール脱水素酵素やミクロゾームエタノール酸化系によってアセトアルデヒドへと分解されます。このアセドアルデヒドが曲者で悪酔いや頭痛、動悸の原因となるのですがこれが更にアルデヒド脱水素酵素によって酢酸へと文kぁ五されます。ちなみに酢酸は更に二酸化炭素と水として排出されるのであまり実感はありませんが、アルコールと酢酸の切っても切れない関係性が伺えます。


 さてそんなワインビネガーと化したワイン、安全性は大丈夫なのでしょうか?上述の通り酢酸は多くの雑菌に対して殺菌効果を示すので腐敗には強そうです。実際お酢を保存用途に利用することは古来より見受けられます。問題は酢酸菌の方です。酢酸菌と一つの種のように語ってきましたが、アルコールを酢酸に代謝する細菌をまとめて酢酸菌と呼称します。したがってその性質や作用もわずかながらに異なります。例えばアセトバスター属はクエン酸回路を有し酢酸を更に二酸化炭素へと分解できますし、菌種によってはセルロースを生成します。この代表的なものがナタデココに用いられるナタ菌でしょう。これら多様な酢酸菌ですが須らく温度の変化に弱いといいます。そこで市販の酢がそうしているように加熱殺菌することである程度安全性が担保できるでしょう。


 

 

 

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